サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-
【サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-】2015
長い長い詩。
以前デモ版をプレイしていて、共通ルートはなんとなく見たつもりでいたけれどドタバタ劇な印象しかなかった。
ドタバタ要素はあるのだけれど物語は詩的。
明石の行動に隠された目的があったことが次第に明らかになっていき、草薙健一郎から託された「櫻達の足跡」が直哉や鳥谷、美術部員の力も借りて形になる流れにゾクゾクした。
宮沢賢治の春と修羅など、詩人の言葉の引用で畳み掛けてくるのが最初だから何なんだよという気持ちにもなったけれど、芸術というものへの登場人物それぞれの思いだったり捉え方だったりをああいう形で表現しているのかなとも。
全編プレイし終えて、ドタバタしていて鬱陶しくもあった弓張学園美術部に戻りたい気持ちになっていた。
草薙健一郎が水菜を攫う流れ(〜夏目一家 vs 中村一家)は暴力と陵辱にうんざりしたので減点。
【ヒロイン印象】
稟:直哉に対する(あからさまな)好意に適度な距離感をおきつつ関わってきたことには(稟の言う通り)意味があった。稟が忘れた(蓋をした)記憶を取り戻す(取り戻させる)物語としての稟√。他の√では必ず稟の諦め(というか√ヒロインに直哉を押しやるムーブ)と釘刺しが入る。糞みたいに描かれた長山香奈との対比で美化されて見えるけれど(稟√で長山香奈に追い詰められつつこれを排除した稟は最高にかっこよかった)、独善的(唯美的)で神のように振る舞う稟と長山香奈は一枚の紙の表と裏なようにも思う。
真琴:真琴√での直哉と真琴の関係、お互いへの尊敬と愛があって良かった。稟と違ってずっと強気(を装って)だったところから育まれていく関係性も尊い。それにしても人間関係みんな中村家絡みの異母兄弟かよ… Hシーンの真琴の作画が別の子みたいに見える。声は六花さんなんだけど。個人的キャラクタ投票第2位。
里奈&優美:里奈√があまりにも詩的だった。優美がただの嫌なやつじゃなくて、愛しい相手の片割れみたいに見えた。千年桜が咲いた時の優美が美しく描かれてた。百合√の里奈が里奈の本性って感じか。優美の純愛が里奈にもてあそばれているような気すらした。優美の声(なのか喋り方なのか)は好きじゃないけど体型が理想すぎる…あばよ、でくの坊(と言って詩集を投げ捨てる)
雫:伯奇としての雫(葛)と、一人の少女としての雫の演出された非連続性の描き方が好き。芸術家として世界的に活躍する稟とその付き人としての雫は、何が何でも恩を返させてくれない直哉への意趣返しのようにも思えた。個人的キャラクタ投票第1位。
藍:いつだって直哉を護ろうと(姉のように)振る舞う藍。藍と結ばれるのはtrue√ではないような描かれ方で少し寂しいけれど藍√があってよかった。合法ロリっぽい感じあってあれだけど… 個人的キャラクタ投票第3位。
【楽曲】
サクラノ詩は音楽が(歌もBGMも)いいね
・櫻ノ詩、何年経ってもヘホゲソング人気1位曲だけど、これ歌ってもめちゃ気持ちいい
https://scrapbox.io/files/632868d7b71f2c0023fbe4bc.jpghttps://scrapbox.io/files/632868f59c34fd00237cd76b.jpg
【サクラノ刻】(体験版)
喫茶店のドアベルのカランコロンという音が聞こえて、キマイラだ!と懐かしい場所に帰ってきた気持ちになった
いい体験版だった。麗華の屈折した友情に涙。本編が楽しみ。
屈折した友情では安っぽいかな… 屈折しているのは静流もだし(彼女にも自覚があったわけではなく)、静流の心の裏に見た友情のそのかけがえのなさに気づいてしまうもこれまで捻じ曲がった表現しか持たないままに生きてきた麗華が屈折した形のまま懸命に思いを表現する様が尊すぎる
【サクラノ詩 2周目】
サクラノ詩をまた最初から見たくなったので2周目。
サクラノ詩最初からやってるけど、サクラノ詩全クリア+サクラノ刻体験版の知識を持って最初から見るとめちゃくちゃ面白い。なんか2周目回ってると櫻ノ詩が流れるだけで色々な感情が押し寄せてくる。櫻ノ詩ってはなさんの声+コーラスエフェクト感が結構好き
2周目は雫√→真琴√と来てる。全体像が見えれば見えるほど登場人物の印象が変わっていく。
サクラノ刻(体験版)の後に再訪した真琴√、伏線がきっちり回収されてて爽快。